ページ

2017年4月7日金曜日

年金は納付率60%だから破綻している、は本当か

世間一般でも、あるいはブログを見ていても表題のように考えている人が多い。もらえるかどうか信用できないから全額免除にしているという人も多いようだ。

ただ60%という数字だけを見て判断するのはいささか早計なようだ。

(1)何に対する60%か
表題ではあえて「年金」と書いたが、正確には「国民年金」の「第1号被保険者」の「免除を受けていない人」である。

対象は、自営業、農業、無職、学生、厚生年金に加入していない中小企業などである。公務員や大多数のサラリーマンは納付率の分母にも分子にも関係ない。

サラリーマンの年金は、国民年金部分+厚生年金部分(+企業年金部分) になるが、この国民年金部分には第2号被保険者として加入していて天引きだから未納はありえない。

第2号被保険者の配偶者が第3号被保険者となり保険料を納める必要はないが、免除されているのではなく事業者が負担している。

よって、未納者40%というのは、全国民から見れば5%程度なのである。


(2)納付率は高い方がいいのか

率であるから、分子を増やしてもよいが、分母を減らしてもよい。

ちなみに免除者も分母に入れた実質納付率は40%だそうで、そこから単純計算すると、免除者33%、未納者27%となる。

分母を減らすためには、「払わない人=未納者」を「払えない人=免除者」にすればよい。実際未納者の多くは収入が少なくて払えないが免除の手続きをしていない人だそうだ。

ということで、一時期年金問題がクローズアップされたとき社会保険庁の職員が本人に無断で免除手続きをして納付率を上げるということもあったようだ。

しかしこれで納付率を上げても収入は増えず、かえって全額免除なら半分は年金を支給しなければならないから年金財政は悪化するのではないか。 いくら納付率が低くても払った人だけがもらうなら破綻はしない。

ごく一部の話だろうが、払えるだけの資産や、配当など分離課税の所得があるにもかかわらず免除を受けて「タダ取り」する方が未納者より問題だろう。

もちろん全国民の老後の生活を保障するという年金制度の理念から言えば、真に免除が必要な人は支えられるように制度設計しなければならないのは当然である。


以上から60%という数字に惑わされてはいけないことがわかるが、むしろ問題なのは、アベノミクスとやらで年金資金を株に投入してバブルを作り上げていることだ。

個人なら高いうちに売り抜ければよいが年金資金がそれをすれば大暴落してアベノミクス失敗となるだろうし、株式保有割合を法令で高めてしまっているから保有し続けなければならないだろう。

バブル崩壊=巨大含み損による破綻の方が現実的である。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。