このごろ高齢者の暴走事故が多い。原因はすべてと言っていいぐらいペダルの踏み間違いである。
オートマチック(AT)車特有の現象であることは言い古されているが、マニュアル(MT)車を運転する者としてあまり取り上げられていない部分を指摘したい。
まずMT車で踏み間違いによる暴走が起こらない理由としてよく言われることを整理すると、
(1)踏み間違いにくい
左足がクラッチペダルの位置に常にあるので足の開き具合で右足の位置感覚がはっきりしている。
※AT車でもちゃんと確認すれば間違えるはずはない、というのはパニック状態の人には通用しない。
(2)踏み間違っても暴走に至らない
ブレーキを踏んでいるつもりで暴走するわけだが、MT車ではブレーキを踏むときはエンスト防止のためクラッチを切るので、間違えてアクセルを踏んだとしても空ぶかしになるだけである。
※ブレーキを踏むときクラッチも踏むというのは無意識な体の動きなので、AT車しか知らない人にはわからない感覚だろう。減速するだけの時はクラッチを踏まないが、止める時は踏まなければエンストする。
以上はよく言われることだが、ここからが今回指摘したいことである。暴走事故が起こりうる場面での運転操作が根本的に違うのである。
(1)暴走事故が起こるのは駐車場などで車を止めたい時であり、ごく低速で車速をコントロールしなければならない。
(2)AT車ではアクセルとブレーキを交互に踏み替えるのでどっちを踏んでいるか混乱する可能性がある。
(3)MT車ではアクセルはエンストしない程度に少しだけ踏むが、車速のコントロールは左足でクラッチの微妙な踏み加減で行うのでそもそも踏み替えということがない。この「半クラッチ」というのもAT車しか知らない人にはわからない感覚だろう。
最後に停止する一瞬だけブレーキを踏むがその時は上述のようにクラッチも完全に切るので暴走しようがない。
だからどうしたらいいという結論はないのだが、今のようにMT車がラインナップに全くないというのは何とかしてほしいと思う。割高でもいいからMT車を設定してほしい。「スポーツタイプ」ではなく。
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